文書作成日:2023/03/30
電子カルテ情報の共有の方向性1/共有される6情報とは?
電子処方箋システムやオンライン資格確認等システムが導入され、情報管理が大きく変わりつつあります。医療機関は、将来の情報共有や連携体制を視野に入れつつ、自院の体制を整備していかなければなりません。
今後どのように医療情報ネットワークは発展していくのか、厚生労働省の検討会(※)のとりまとめ(案)の内容に注目したいと思います。
医療情報ネットワークは、全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とすることを目指しています。これにより、医療機関同士の情報共有・連携体制を強化し、切れ目のない診療やケア、災害などの緊急対応に役立てる目的です。
交換する電子カルテ情報として、以下の「6情報」が挙げられています。
- 傷病名
- アレルギー情報
- 感染症情報
- 薬剤禁忌情報
- 救急時に有用な検査情報、生活習慣病関連の検査情報
- 処方情報
また、これらを踏まえた文書情報である診療情報提供書と退院時サマリーを「2文書」と称し、上記「6情報」とともに、標準化を進める方針です。
登録や保存、閲覧の全体像イメージとして、下図が提示されています。
出典:厚生労働省検討会資料「とりまとめ(案)の概要」p.6
電子カルテ情報の共有による医療機関や患者のメリットとして、以下が考えられます。
医療機関等のメリット
- 紹介先医療機関等以外への誤FAXの防止や、紙の文書の印刷・郵送の手間及びコストの削減が可能となる。
- 6情報を参考に診療情報提供書を作成し紹介先医療機関等に提供することが可能となる。
- 患者の来院前に紹介先医療機関が文書情報を確認することが可能となる。
- 紹介元医療機関をシステム上で特定できることで、提供者が不明確な状態での文書の受け取りを防止できる。
患者のメリット
- 文書(診療情報提供書やその添付文書含む。)の作成による待ち時間や、事前に紹介・受診先医療機関が文書情報を確認することによる待ち時間が短縮できる。
- 紙の文書の持参忘れを防止でき、紛失による自身の情報が漏洩するリスクを防止できる。
- 文書の受け取りのための来院が不要になる。
- 患者自らが6情報を確認することができ、自身の健康管理に役立てることができる。
- 受診の際にマイナポータル等で6情報を閲覧しながら問診に答えられることで、正確な情報の記載・回答が可能となるとともに、その場で思い出す手間が削減できる。
取りまとめ(案)では、2文書と6情報についての保存期間についてもまとめられています。詳細は以下のホームページにてご確認ください。
(※)厚生労働省 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワーク基盤に関するワーキンググループ
参考:
厚生労働省「第7回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ資料について」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
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